Moby & The Void Pacific Choir『Are You Lost In The World Like Me』 Next Plus Songエレファントカシマシ『RAINBOW』

urema
『笑う』

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 その歌詞を書いている時の作者はどんな様子だろうと想像することがある。何故それを、何故その歌詞を。そしてどんな表情でどんな想いを託そうとしているのか。この曲はまさにそんなことを想像させる。聴けば聴くほど心がザワザワする。今の日本で、こんな状況が考えられるのだろうか。マシンガンには立っていられない。銃弾に倒れていく人の様子が描写される。それを見ている自分の姿が描写される。それがマシンガンだから、銃弾だから、倒れる理由も素直に理解できる。だが、何故日本でマシンガンなのか。銃弾なのか。映画で言えば勧善懲悪のハリウッド的アクション映画のわかりやすさとは対照的に、ミニシアター系の映画の難解さや、結論など特に示してくれない表現がある。だがそれも映像が明確に示されるのであって、歌詞のように言葉の二重性、比喩性に隠された、いや託された表現の幅というものが、直接的な映像とはまた別の自由さを持っているよなあと改めて思う。日本語の世界で主に日本人に向かって表現される「倒れる」とは一体何か。そのことを考えてみないわけにはいかない。日々倒れていく人たちとは誰なのか。そしてそういう人たちが笑っている。そのことの意味は何なのか。細かく解説することの野暮さと、同時に解説してみたところで正解はきっとひとつではなく、聴く者すべてにフィットするそれぞれの理解があるのだろう。わかりやすい歌詞というものもそれはそれで別にいいのだが、こういう歌詞に時折接して、いろいろと想像を巡らすのは悪いことではないと思う。今月に入って彼らの新しい MV『月がいない』が公開されてて、本当はそっちをレビューしようと思っていたのだけれど、やっぱこっちの方が圧倒的にクオリティが高くて、示唆に富んでいるなあと思ったのです。
(2016.12.29) (レビュアー:大島栄二)
 


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