荒井由美 & Hi-Fi Set『あの日にかえりたい~卒業写真』
Meme『Machloop』
Al Green
『How Can You Mend a Broken Heart』
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風が冷たい季節になると悲しい歌が聴きたくなる。悲しい歌もたくさんあるが、僕の中での悲しい歌ベスト5を選ぶなら、必ず入ってくるのがこの曲。元々は
ビージーズが1971年に発表したのがオリジナル
だが、このアルグリーンのバージョンの方が圧倒的に悲しい。ビージーズの歌いっぷりは軽くて、本当にブロークンハートしてるんかいオイって文句言いたくなる。その点アルグリーンの歌い方はメトロノームとか知らんのかというくらいに溜めに溜めたり、とにかく感情を込めるためのノウハウを全部使い切っているだろうというような感じ。2分30秒からの10秒を超えるか細いシャウト。4分あたりでは客席にいる人たち全員を「ブロークンハートしたニューヨークの人たち」みたいに勝手にカテゴライズする強引ぶり。現場にいたらカップルであってもブロークンハートしたような気になるかもしれない。こういうのが好きな人と嫌いな人はきっといるだろうなと想像できるくらいに個性的。もはや歌唱という域を超えたある種の芸。ブロークンハートを演じる役者のようなパフォーマンスだ。濃いな。これを2時間のソロライブで聴かされたらお腹一杯になってしまうだろう。このアルグリーンのバージョンは映画ノッティングヒルの劇中歌として使われていて、その映画のストーリーも併せて、悲しい気分が盛上がってくるわけだが、やはりサントラの中の1曲という程度が、このヘビーなブロークンハート気分を味わうにはちょうどいい分量なのかもしれない。
(2016.12.12)
(レビュアー:大島栄二)
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