Miss Americaというとまずアメコミのヒーロー(ヒロイン?)を想起する。他にもアメリカのミスコンテストでもあって、要するにミス日本と同じようなイメージもあるに違いない。この曲ではそのMiss Americaという言葉が本来のポジティブなイメージとは逆に、「I miss you(あなたがいなくなって寂しい)」というような使われ方をしている。映像は様々なデモの様子と、彼女がセミヌードで歌う姿を交互に。この動画は11月7日に公開されていて、アメリカ大統領選の数日前。だから結果がどうなるのかなど当然わからない段階だし、この曲が作られビデオの制作をする期間を考えれば、トランプかヒラリーかには関係なく、この曲にあるようなアメリカへの失望が既に蔓延していたのは間違いないだろう。それが是か非かの判断はともかく、海外のアーチストはこんな調子で軽やかに社会への意見表明を行なっているみたいで、とても羨ましいなと思う、リスナーが、そして国民が。日本は特に法的な規制があるわけでもなく、だからやろうと思えば誰だってやれるのだが、大きな動きとしてやっている様子はあまり見かけない。なんだろうなこの違いはと常々考えてみるけれども、答えなんてまったく見えやしない。この曲の軽やかなリズムのアコースティックギターがなんともピースフルで、詩の内容がどんななのかはまったく感じさせず、このさりげなさも、主張がそこここにサラリと存在できる秘訣なのかもしれない。