UA『AUWA』
ゆだち『 (die staadt) Norm 』
スカート
『CALL』
ツイート
どこかで聴いたことのあるような懐かしさがある。CMなどで流れてきても何の不思議も無いだろう。いや、僕が知らないだけで既に街のあちこちで流れていたりするのかもしれない。今となっては大御所となったかつてのインディーズバンドが今も変わらずに繰り出している王道のような安定感がある。そういうバンドが若かりし頃に好きになったファンは、バンドが歳を重ね、自分も歳を重ねてもずっと一筋に聴き続けるもので、その音楽にはもちろん価値があるけれども、ではそのバンドが歳を重ねて大御所になってから、若くて音楽を聴きだした若いリスナーがファンになっていくことが、健全なことかと問われれば僕はそうではないと答えたい。なぜなら、若いリスナーが歳をちょっと重ねた時点で、その大御所バンドはメンバーが死んだりしてしまうからである。やはり若者は自分と同世代もしくはちょっとだけ人生の先輩というバンドが無名から有名に変わるあたりでファンになるのが真っ当だと思う。そういう意味でも、この検索してもなかなかバンドのページがひっかかりにくいような名前のバンドが、王道のような、懐かしさを想起させる音楽を淡々と作っていることには大きな意味があるし、その音楽の動画がけっこうな数の再生をされているということにも大きな意味があるだろう。ひとつ言えることは、有名なバンドが出てくれば無数に出てくるパクリバンド、テイストを真似していることにさえ気がつかないバンドが有象無象に出てくるわけだけれども、このバンドはそういう「誰風」というものとはまったく違うということ。なのに、どこか懐かしい王道を感じさせるのは、並大抵のことではない。多くがオリジナルを追求しようとして、誰もやっていない音楽にこだわるあまりに隙間のような音楽になってしまうというのに、このバンドはどういうわけだか懐かしく王道なオリジナルを打ち出している。とてもイイと、思う。まあ、バンドといいつつもソロプロジェクトらしいし、そのソロの人もちょっと肥満気味のようで、体型などはどうでもいいのだが、不摂生のせいでファンと歳を重ねていけないようなことにならなければいいのにと、老婆心どころかまったく余計なお世話なことを思って心配してしまうのだけれども。
(2016.5.30)
(レビュアー:大島栄二)
ARTIST INFOMATION →
このレビューは、公開されている音源や映像を当サイトが独自に視聴し作成しているものです。アーチストの確認を受けているものではありませんので、予めご了承ください。万一アーチスト本人がご覧になり、表現などについて問題があると思われる場合は、当サイトインフォメーション宛てに
メール
をいただければ、修正及び削除など対応いたします。