泉谷しげる『春夏秋冬』
EVERLONG『オレンジ』
parallelleap
『がたん、ごとん』
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電車の窓からの風景が好きだ。自分で運転する車からの風景と違い、自分の意思では止まることの出来ない風景の流れ。いや、その車両に乗り込んだのは自分の意思なのだけれども、動き出したらもう止めることは出来ない。2013年に広島から東京に活動拠点を移したというこのユニットの2013年投稿の曲。「もう二度と戻らない一生、見逃さないでね」と歌っている。他にもたくさん印象的なフレーズが散りばめられているものの、このフレーズが特に心に引っかかる。決意を持って拠点を移すというのは、そんな気持ちになるものなのだろう。生活ごと、心ごと持っていく。移る元の場所からすれば持ち去られるような気持ち。いうまでもなく、持ち去るのは自分だ。一生戻らない場所ならば、忘れてしまえばいいのに、見逃さないでと歌う。写真を撮って振り返ればいいということではなく、今、この瞬間の持ち去っているという気持ちそのものをちゃんと自覚すべきということなのだろうか。途中下車することも可能。だが、下車しないというところに自分の想いがあって、だから切なくなるのだろうか。自分を元の場所から持ち去っているのは自分自身なのに、それを電車が持ち去っているような錯覚。自分では止められないんだという理由で納得する。そんなに複雑に考えるくらいなら拠点を移すなんてしなければいいのに。でも、拠点を移すべき理由はちゃんとあるのだ。それは誰にも、彼らにも僕にも、あなたにも。そんな複雑な想いがリズミカルで軽やかな音色に乗せられている。それはまるで、哀しく切ない気持ちと同時に、新天地での夢を描いているかのようで、聴いていて心地良い。ステキな曲だ。
(2016.5.23)
(レビュアー:大島栄二)
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