宇多田ヒカル『traveling』 Next Plus SongPrince『Kiss』

岡崎体育
『MUSIC VIDEO』

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 ミュージックビデオのあるあるをそのまま曲にしてビデオにしたと話題の曲。見てみるとたしかにあるあるだ。ミュージックビデオを作ったりすることもある立場としては、じゃあ他にどんな手法があるんだよとか思ったりするし、マイケルジャクソン並の予算があるならばともかくスタジオ借りる予算も大道具作る予算もなければ外ロケしか無いじゃないかという中で、なんとか動きを出そうとするとまあこのくらいしかないよなという結論に落ち着く。で、この曲、ビデオのことはさておいて純粋に曲として聴いてみると単純なAメロBメロサビみたいな感じではなくて、途中でラップのような、でもラップという感じでもないネタフレーズみたいな部分が挿入されて、その後に始まるサビ前メロがもうAメロBメロどんなんだったっけというくらいのバリエーション。そこからまたラップが始まって、もう定型のない流れ。ある意味1曲で数曲のメドレーのような感じになっていて、よくこんな曲作るなあというある種の驚きがあった。映像も曲も驚きで、それではこの曲が曲として心に沁みたり響いたりするのかというと、それはまた別の話だろうなあという気もする。つまり、ミュージックビデオをいくら凝ったものにして話題を集めたとしても、肝心のミュージックが心に響かなければ結果としての人気向上やセールスには結び付かない。とはいえ、曲がよければ自然とみんなが評価してくれるなんていうのも中学生レベルの純朴なウソでしかなく、やはり何らかのきっかけで知ってもらえなければいくら良い曲であっても評価されることはありえない。この岡崎体育さん、このビデオで一瞬の注目は集めているようであるし、そこから先、リスナーのハートをガッチリとつかむ曲を聴いてもらうチャンスにつながるのかどうかが今後の鍵なんだろうという気がする。サザンオールスターズも最初から「いとしのエリー」だったのではなく、「勝手にシンドバット」で注目を集めたわけだし。いや、そこと比較するべきではないのだろうけれども。
(2016.4.22) (レビュアー:大島栄二)
 


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