Rhum For Pauline『Florida』
イエスマン『Googleダンス』
ネズミハナビ
『Family.』
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家族ってなんだろう。それが力になることもあるし、場合によっては足枷になることもある。書面上で家族になったのであれば書面上で家族であることをやめることだって出来ようが、書面とは無関係になっちゃうものが家族だったりすることも多く、その場合はやめることなど基本的に出来ない。僕は家族を持つということで訪れた境地に対して否定的な感情を一切持たずに済んでいるが、それは稀で幸福なことだと思う。友人知人にも家族同士で憎しみを抱きあっているケースは少なくなく、一体何の歯車が狂ってそうなってしまったのだろうと考えていること自体けっしてスタンダードではないのであって、憎しみを抱きあう家族関係に在る人からすれば、何の歯車が狂って家族同士でいたわりあったりすることになるんだろうと考えるのだろう。すべては偶然であり、自分の人間関係への基礎は生まれた家族の何かによって決まるのだとすれば、本人が努力をして感じ方を変えるということは言葉で言うほど容易なことではないのではないだろうか。このFamily.という曲では「子供のくせに子供を作って、わずかな魅力もゼロになったでしょう」「そっくり並んだ寝顔を見ては、遠くに来たなって恐くて震える」と綴っている。何故だよ、何故そう思うと一瞬思うが、では「子供が生まれて幸せハッピー」「家族ってステキだね支えあってるよ僕ら」みたいな歌に存在意義があるのかと考えると、古今東西の名作といわれる文学作品とは人間の不条理をこれでもかと正面から描いていて、だから人の心を揺さぶるわけで、やはり幸せいっぱい夢いっぱいというような作品には誰も感動などし得ないのだろうと思う。この曲がずっと人々の心に残る名作なのかはまた別の問題だとしても、この作品を生み出す人生観というものは作者の頭の中にあるわけで、そういう頭の中から生まれる作品世界というものから、目を耳をそむけるわけにはいかないという気がする。
(2016.2.25)
(レビュアー:大島栄二)
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