The Jacksons『Enjoy Yourself』
ユタ州『27さい』
ユメノハウス
『Se-nd』
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バンドはやっぱりライブだぜという言葉はよく聞くし、実際そうだと僕も思う。いくらレコーディングで加工してイイ感じに仕上げることができたとしても、ライブでつける嘘は少ない。とはいえなんの予備知識もなくライブで見てもらうというのはハードルも高い。「まずはライブを見て判断してくれ」と言われることも多いけれども、その前に「ライブを見てみたいな」と思わせるための何か、魅力の片鱗を見せつけることが必要だろう。20年前ならストリートライブをやったり、デモカセットを配ったりとみんなやっていたが、今ならやっぱりネットでYouTubeだろう。しかしライブの動画でライブの迫力を再現するのはなかなか難しいことで、多くのライブバンドがライブの魅力の1/10さえ伝えることができずにいる。いやもちろんそもそものライブの魅力を持っていないバンドも少なくないのだが。このユメノハウスというバンドのライブ風景をベースにしたMVからはライブの雰囲気が伝わってくる。ライブの面白さは、例えばボーカルが歌っているところに視線を注ぎつつも他の楽器パートに目や耳が移っていくところなんかにあるのだろうと思う。ビデオならトイレに行きたければ一時停止してまた再開させればいいけれど、せっかくの一期一会のライブだから見逃せば終わり。だからいいバンドのライブは見落とすことなくすべてを見たいと思いつつも、やっぱり見落としてしまう。1分50秒あたりで歌終わりのギター決めフレーズがあるけれども、カメラがギターに向いた時にはそのフレーズは終わっていて、もうちょっと弾くかなと見続けるものの、ネックを押さえることなくアクションをするだけで、既に歌い始めたボーカルに視線は戻っていく。その未練が残るような画面の動きなどは、まさに好きなバンドのライブを観に行ってアタフタしてしまう観客のそれだなあと感じて嬉しくなる。友人と一緒にほぼ隣で見ても、同じステージのはずなのに見てるものも印象に残るものもまったく違うというのがライブの面白さ。だからもちろんどこかの音楽ライターが見事な文章で書いたライブレポートも、それがすべてであるはずはない。だからこそライブを自分の眼で確かめるのがいいのだけれども、やはり「見たい」「確かめたい」と思わせる前段階でバンドは頑張らないといけないわけで。まあ簡単ではないけれども、こういうライブ動画は、イイなと僕は思う。
(2016.1.25)
(レビュアー:大島栄二)
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