Grimes『Flesh without Blood』 Next Plus Songスバラシイセカイ『エンドロールが終わったら』

ハッチズクローバー
『スウプ』

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 ハッチズクローバーは2000年に出会って僕が主催していたライブに出てもらい、彼らの音源を2曲収録したコンピレーションCDをリリースした。その後アルバムのリリースをしようとミーティングを重ねていたもののまとまらず断念した。曲が素晴らしく、ハッチさんのボーカルが素晴らしく、伸びやかで張りのある声でありながらもただ伸びやかなだけではない、リスナーの心に忘れものを残して去っていくような後味がある。ミーティングではドラムのメンバーが1人でやってきてリーダーとして交渉し、他のメンバーとは一切接触がない形で進み、その時点で、ああ、これはうまくいかないなと感じていたのも事実。一般的にインディーズから抜け出せない大きな要因として、今あるものを守り過ぎるという傾向行動がある。彼は何かを守ろうとして、守り過ぎるのと引き換えに何かを喪ってしまったのではないだろうか。その後彼らは山手線全駅前ストリートライブなどをしながら知名度を上げていくも、では大きな成果につながったのかというと、どうなのだろうか。その辺の判断はとても難しいのだが、もうすぐ解散から10年が経とうとしている。この曲は彼らの動画が唯一見られるもので、偶然見つけて聴き入った。曲の中で「あなたは今どこで何をしていますか〜私のことなどもう思い出ですか」とその場に残される側の立場の気持ちを歌っているが、この動画を見るファンとしては、あなたの方こそ今どこで何をしていますかと問いかけたくなる。アーチストは他人の心に何かを置いていく。置き忘れて去っていく。去っていった先を追い求めようとしても、その場所などきっとつかめないのだろうし、つかんだところでそこに新しい表現を求めることもきっと叶わないのだろう。
(2016.1.7) (レビュアー:大島栄二)
 


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