D.A.N.『POOL』
高野寛『dog year good year』
SaToA
『手紙』
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ポップです。この、ディストーションとも低音ブーストとも無縁な、軽いというかカラフルというか、ロックバンドではなかなかしませんよという感じのギターの音質。こういうの、イカしてると思います。だからといって普通のミュージシャンがこの軽くてペラペラのギターを鳴らしたとしても、それはやっぱり軽くてペラペラにしかならず、こんな風なイイ感じのポップサウンドにはならないでしょう。ペラペラな軽いギターが不思議とマッチするのは、左右からユニゾって聞こえてくるボーカルの特徴というものも理由のひとつなわけですが、それ以上に、このバンドの刹那的なイメージがあるのではないかと思っています。きっと好きなように音楽を奏でてて、諸々事情が変わってきたなら音楽に固執することなくさらりと別のところへ行ってしまいそうな、そんな、渡り鳥の一時的な飛来を見ているような気分になるのです。こういう音楽は一生懸命にLPレコードをカセットに録音して、さらに音質が悪くなるのはわかっているのにピンポンダビングを繰り返しながらマイテープを作って聴いていたあの頃にはたくさんあったのですが、デジタル三昧でいくらでも録り直しが可能な今は、ほとんど聴くことがなくなってしまいました。いつだってググればそこにある音楽とは対照的に、気がついたら存在そのものが消えて見えなくなってしまうような、そんな刹那性をこのバンドと曲には感じてしまうのです。
(2015.12.11)
(レビュアー:大島栄二)
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