AM & Shawn Lee『Nightshine』
馬喰町バンド『わたしたち』
アカシック
『サイノロジック』
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こういうのをポップというのかもしれんと思う。いや、完全にロックですよ。ロックバンドだしロックなサウンドだし鍵盤が入っていてもギターの存在感は圧倒的だし、ロックそのものなんだけれど、僕はこれをポップだと思う。特別美形でもないボーカル理姫さんがとっっっっても魅力的に見えるのは、彼女の内面にある何かが曲によって引き出されているからだろうし、その魅力を引き出す力というのが超ポップである所以。彼らにはハードな曲ももちろんあって、その構成とキャラなどは一見椎名林檎の初期と似てもいるが、じゃあ同じなのかというと実は真逆で椎名林檎が寡黙な人の寡黙である理由が密やかなパワフルさにあることを音楽で引き出しているのに較べ、アカシックの場合はパワフルな人の中にあるキュートさを音楽が引き出そうとしている。その結果辿り着く地点が似ているというのがなんとも面白いところで、だからこれをポップなんだと思うのかもしれない。あくまで僕の勝手な私見に過ぎないけれども。いくつもある動画の中でこの曲を選んだのは、冒頭で「セイシェルの〜」という歌詞があって、そこに現代の松田聖子を重ねあわせることも出来て面白かったからだ。インド洋に浮かぶセイシェル諸島の名前なんて松田聖子の歌でしか聞いたことがなく、1980年代前半にそんなことを歌われてもまったくこの世の話とは思えないくらいの浮世離れ感で、それを(おそらく日本の)どこかの海沿いを蓮っ葉な風体と態度を見せつつ口にするところがとっても面白い。そういえば80年代の松田聖子も徹底的なぶりっ子をして世間にアピールしていたものの、その本質は蓮っ葉であることを実は隠そうともせず、そのギャップ感の仮想プリチーさにリアリティを持たせていたわけで、アカシックが2010年代半ばという時代に出てくる場合、手法は同じであってもスタイルはまったく違った形になっているということが、しかしそれを重ねあわせてみることが出来るという点が、時代を感じられて個人的にとても面白いところだったのである。
(2015.11.5)
(レビュアー:大島栄二)
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