個人的なことを言わせてもらうと、今でも聴くカーペンターズは、20年ほど前にニューヨークのHMVで買ったカセットテープだ。レンタカーで旅をするとき、カーステレオでCDは聴けなくてカセットテープが唯一の手段。なのでカセットテープを5本ばかり買って出かけることにした。他の4本が今どこにあるのかはまったくわからないけれども、カーペンターズのテープは今も時々聴いている。CDで買い直せばいいじゃないかとも思うが、カセットでカーペンターズを聴くというのが、なんかカーペンターズっぽいような気がして、今もカセットで聴いている。カセットで再生したのをパソコンで取り込んで音源としてiPhoneで聴くことだって技術的には可能だけれども、僕の中でカーペンターズはやっぱりカセットの音楽なのだ。それを聴くとニューヨークで買った時のこともフロリダ半島を運転していた時のことも思い出される。音楽は、記憶を蘇らせるものであるし、それが具体的にカセットテープであるということが、記憶をより鮮明にしてくれるような気がしている。気がしているだけなのかもしれないけれど。12曲入りのそのカセットは大ヒットシングルを集めたもので、その中でもこの哀愁を帯びた曲が一番好き。海外のカセットに歌詞カードなどは当然付いていないので、僕はこの曲のタイトルは『Why do birds suddenly appea』だとばかり思っていて、今回調べてそうじゃないことを知ってちょっとばかり驚いた。そして日本では『Close To You』でさえなく『遙かなる影』だと知ってまたまた驚いた。「遙かなる影」なんて言われてもカーペンターズのカの字も思い出せないと思う。まあそんな僕の個人的なことはどうでも良いよね。やっぱりカーペンターズは不滅のユニットだと思う。休日の午後にゆっくりと聴くのにこれほどピッタリの音楽はそう他にない。カセットデッキよどうか壊れないでおくれと願うばかりだ。