長渕剛『巡恋歌』
Keyton『ナイトデイライト』
谷口晴菜
『正直な嘘』
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不思議な響きのする声だ。いや、こんな声は数多あるアイドルボーカルの中にあるだろうという反論も聞こえてきそうだ。でも、それにはあえて否と言いたい。出だしの言葉がガツガツとしていない。セオリーから言えばもっと声を張れよということになるのかもしれない。だが、張るよりもジワリとスーッと確実に響いてくる。そこから曲が盛上がるにつれて声の音量は大きくなっていき、インパクトはあるのだが、出だしの張らない呟きのような部分が一番、聴く者の感情を刺激する。こういうのを、持ち味というのだろうか。才能というのとはまた違う、持ち味、特性なのだろうと思う。ボイストレーニングを重ねれば、この人の歌はもっと洗練されていくだろうし、上手くなっていくだろう。だが、それでこの持ち味が活きてくるのかというと、それはわからない。確実に消えるとも言えなければ、確実に活きてくるとも言えない。歌手が上手くなっていくとともにつまらなくなっていくということはよくあることで、だから、原石の、まだ粗削りな表現を見聞きすることには醍醐味があるのだ。そう思う。ここからいかようにも変化しそうな、良くも悪くもなり得る、そんな原石に遭遇した、まさに遭遇したという思いがした。
(2015.9.28)
(レビュアー:大島栄二)
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