EHONN『サマードラッグ』
The Street Sliders『SLIDER』
石田千尋
『バイバイ、ブラックバード』
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出だしの声のキュートなこと。それが歌が進むにつれて迫力の怒声となっていく。サビになる直前でファルセットになって、え、その前のキュートな声は裏声ではなかったのかと思った途端に太いシャウトになる。不思議な声。メロディや歌詞が特別だという感じは一切無いのだが、声がキュートなものから鋭く太い声へと変わっていく範囲の広さに驚くし、そのすべての領域でそれぞれ魅力的というのがとてもいい。こういう人の歌というのは、歌詞がどうとかいうことではなく、メロディが音楽的かどうかということでもなく、純粋に声を楽しむために聴くということでいいのではないだろうか。つまり、この声がオリジナリティの源泉。そう考えたら、いろいろな名曲のカバーを披露してくれれたらこの人の魅力はよりハッキリと理解されるような気がする。しかしながら、歌を聴くかぎり、表現者として伝えたい想いのようなものも強くあるように見え、他人の言葉を易々と歌うなんてこともなかなか出来ないのではないかなあとか、勝手なことを思い巡らしてみる。
(2015.9.11)
(レビュアー:大島栄二)
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