Omar Souleyman『Bahdeni Nami』
石田千尋『バイバイ、ブラックバード』
EHONN
『サマードラッグ』
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音楽をやっているのだろうか。それとも呼吸するように音楽をしてしまっているのだろうか。ただ歌うだけというのとは違って、音楽を奏でるにはそれなりの準備が必要で、だからただ歌を聴いている人からは見えにくいところで、水鳥が水面下で水をかいているような努力があるのだというのはよく言われること。確かにそうだと思う。リハーサルのないパフォーマンスなんてものは存在しない。では、水鳥はリハーサルをして水面下の足かきをしているのかというとそうではなく、ただ、呼吸をするのと同じような感覚で、ただ水をかいているだけなのだ。EHONNという人の行うパフォーマンスを見てみると、自由がまず前面に押し出されてくるのがわかる。そういう音楽はなんだろうかと思わされることが時々ある。それは日本人が英語で何かを言おうとする時にまず日本語で考えたものを脳内翻訳していることの不自由さに対し、英語を母語とする小さな子供がたいして考えもしない発想を普通に英語で喋って笑ってる自由さのような、そんなものなのではなかろうか。もちろん英語の人も大人になれば自分の発言に責任を持ち、ちゃんと考えて喋るのだが、その萌芽のような自由さが、音楽の世界にもごく稀に、本当に珍しいこととして起こるのではないかと。その自由さ故に計算されたプロダクツほどの伝播力を持ち得るかについては確信を持てないのだが、こういう自由な音楽に出会うと、自由の素晴らしさを再確認できて嬉しい。
(2015.9.10)
(レビュアー:大島栄二)
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