Albert Hammond Jr.『Losing Touch』
iTuca『例えば』
その隙間から
『Memories Sink in the Blood-Orange』
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女性の後ろ姿が映っている。背景がどんどん変化する。こういう映像を作る時、普通に考えるといろいろな背景を撮影して女性の姿をクロマキーで合成するという手法をとる。だが、どうやらそんなことはしていないようだ。すべてのシーンにこの女性も行って、カメラをセッティングし、同じ位置に映るように立たせ、撮影をする。特別な演技があるわけでもなくただ立っているだけなので、おそらく数分撮影して、また次の場所へ移動。そのすべての場所でカメラと女性の位置と角度と絞りをかなり厳密に調整していると思われる。ありきたりの調整だとシーンが変わるごとにズレる。動いたなというのが判る。人間の目はその辺かなりシビアなので言葉で厳密にといってもかなりの厳密さだろうと思われ、頭が下がる。撮影後に映像の位置をずらして調整するということだって出来ないわけではないし、それも多少はやっているかもしれないが、現場での調整にかなり神経を使っていることは間違いない。そういう意味でも、かなり素晴らしいビデオだと思う。ついつい何度も見てしまう。見とれてしまう。インストロックバンドの楽曲に歌が無いことに慣れてない人だって5分を全部見ることができるだろう。いや、このレビューを会社のパソコンで見ているから音を出せないという人だって、5分を全部見てしまうだろう。そのくらい、絵で魅せ切るミュージックビデオだ。え、曲のことについてまったく触れていないって? すみませんすみません。でも、このmusiplでは曲がいいことが大前提。黙って聴けばきっとわかります。よ。
(2015.8.20)
(レビュアー:大島栄二)
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