Microglobe『High On Hope』
台風クラブ『処暑』
佐野元春
『君が気高い孤独なら』
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1980年代、佐野元春を聴いていたのは、彼が希望をメッセージする表現者だったからだ。ポジティブとか勇気とか、そんなものをメッセージする人は掃いて捨てるほどいる。だが、希望を明確に描いてくれる人は他にいなかった。それもスタイリッシュに。スタイリッシュな音楽もまたポップス畑にたくさんいる。だが、ロックの切り口でスタイリッシュに希望を語ってくれる人は他にいなかった。ある程度売れてから彼の作品は過度にスタイリッシュに向かっていき、結果としてスタイリッシュとは対極の何かになってしまったように感じたものだけれども、大衆ごときが何を感じようとおかまいなしに表現を続けてきた佐野元春は、結果的にも希望を表現し続けていたということだったではないだろうか。カッコいい若者の代表はやがて髪が白くなっていった。それを隠すこともせず、怪しげな言動に恥じることもなく、自分を続けるというのはこういうことだよと、いくつもの積上げによって自分の足場を固めた表現者は言っているようだ。誰もが予想するし欲する明日に向かわないということの孤独さが良いのだと。みんなで共感できる何かに一緒になってコブシを振り上げることとは違う未来もきっと輝けるのだと。老いた彼から生まれるそういうメッセージはやはり希望そのものだと思うし、それが乗るビートはやはり今もスタイリッシュだと感じてしまう。
(2015.7.18)
(レビュアー:大島栄二)
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