The Go! Team『Catch Me On The Rebound』
ヒラオコジョー・ザ・グループサウンズ『太陽になりたくて』
趙昌徳
『シンプル』
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この声はとても不思議だ。ハイトーンボイス競争が行われていた1990年代には地声で出る限界を互いに競うようにして歌っていたもので、はやばやとファルセットに移行する歌い方を「逃げている」と揶揄した人たちもいた。だが要は聴いて心地良いかどうかが問題なのであって、その体育会系のような競争はやがて価値を失っていった。この趙昌徳の歌はハイトーン×ファルセット問題など歴史上にさえ存在しないかのようにハイトーンを響かせている。これがファルセットなのかどうなのかよくわからないほどである。それは曲の中で低音域のメロディを歌う部分でもファルセット的な響きをさせていて、これが彼の地声だと言われれば「うん、そうだな」と納得してしまいそうだし、「いや、違うよ」と反論する術も持ち得ない。というか、そんなことにこだわることが既に1990年代的な過去の遺物なのだろう。心に何も持たず彼の歌声にただ耳を傾けて心地良い。それはおそらくほとんどの人に共感してもらえる感動だろうし、それを単に味わうだけでいいのではないだろうか。
(2015.5.7)
(レビュアー:大島栄二)
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