Wire Stripper『Real Land』 Next Plus SongNakakoh『光さえも知らない場所』

Flipper's Guitar
『恋とマシンガン』

 先日岡崎京子の展覧会最終日に小沢健二がシークレットでライブを行い、ネットでは話題騒然だった。表舞台から去ってもう何年になるのだろうか。数年前にはUstで生中継を行うと告知して多くの人がやはり注目したものの、ニューヨークからの生中継でたいした発表もおこなわれることなく、なんだ、Ust試してみたかっただけなのかとかなり肩透かしを喰らった印象を持ったこともある。だがそれでもある層の音楽ファンにとっては生きる伝説のような存在だということなのだろうか。1990年代中頃に渋谷系というカテゴリーの音楽が盛上がり、その発端はLove Tambourinesというバンドだったのだが、結果的に渋谷系を大きなムーブメントに引っ張り込んでいったのはこのFlipper's Guitarだった。その後「もうやることはなくなった」と解散し、芸能に近いところでポップの申し子のように活躍した小沢健二と、高度にマニアックな音楽に取り組んでいった小山田圭吾に対してはファンの間でもどちらが好きかでほぼ真っ二つに分かれたように感じているが、カラーの違うソロ活動を見ても、やはりこの2人が一緒になって音楽を作り続けていたらどうだったんだろうなあと、絶対に無理だった「もし」を想像してしまう。その想いこそ、ちょっとした彼らの活動に一喜一憂するファンたちの、燃え尽きさせてもらっていないくすぶりなのだろうと思う。それは絶頂の瞬間に引退をした山口百恵への「もし」にも似ている。その時に終わって伝説となるのがいいのか、それとも50歳を過ぎてバラエティなどに出ている彼女を見続けられた方が幸せだったのか判らないように、Flipper's Guitarにも、数年に1度再結成を繰り返すようなことは、して欲しくないなあと思ったりする。見てみたくはあるけれども。
(2015.4.18) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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