Loveskills『Cover Me』 Next Plus SongFlipper's Guitar『恋とマシンガン』

Wire Stripper
『Real Land』

 ロックってなんだろうかといつも思う。それは生き様であるというのがひとつの結論ではあるが、じゃあそれが唯一の解なのかというとそうでもなく、仮に生き様だとして、その生き様を音楽で表現するというのはどのような手法や技術があるのだろうかというのも、やはり明快な答えなどはない。彼らWire Stripperは公式にはハードロックバンドらしいのだが、この表現にはハードロックかどうかなどはほとんど関係がないように思える。このボーカルが採っている独特な歌い方。それこそが彼らのジャンルのような気がするし、それは例えばエレカシ宮本にも通じるような、他の普通のシンガーがカバーしたら楽曲の印象はほぼ別モノになってしまうだろうと思えるような、独特のしゃくり具合。聴いていて好き嫌いはかなりはっきりと分かれるのだろう。で、僕は好きだ。彼はこういう歌い方でしか心模様を表現できないのだろう。それは野球の選手がものすごく個性的なフォームでバッターボックスに立ち、そんなの少年野球の選手がマネすれば一発で調子を崩すだろうというフォームなのに、その選手はそれでしか球が前に飛ばない。そういう個性でフィールドが溢れれば観戦も面白いものになるのと同じように、ステージというステージが唯一無二の表現手法で溢れれば、音楽シーンもきっと盛上がるだろうなと思ったりもするのだ。流行りの音楽は何かばかりを追って自分を失った人気バンドなど、掃いて捨てて捨てまくった後に、彼らのような武骨で不器用そうな音楽表現が、残ってくれればと切に願ったりする。
(2015.4.17) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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