サイ・トツゲキ・オーケストラ『赤いTシャツ』
天才バンド『君が誰かの彼女になりくさっても』
KISS
『Detroit Rock City』
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先日KISSの来日コンサートを見てきたのだが、いやあ完全にエンターテインメント。一時期はメイクを落として活動をしてきた彼らだが、やはりKISSはメイクしてナンボという気がする。メンバーはオリジナルから半分替わってしまったのだが、メイクしてるからオリジナルメンバーであるかのような錯覚もあって。そのライブのオープニングがこの曲。初期に彼らを世界的スターに押し上げたアルバムの曲で、ライブの大半はそういう懐かしの大ヒット曲。おかげでそれほど彼らの活動を追っていない僕でもエンターテインメントとして楽しめた。こういう活動は、ミュージシャンにとってどうなんだろうといつも思う。淡谷のり子は「別れのブルース」をいつまでも歌うのがそんなに好きじゃなかったらしい。西城秀樹はいつまでも「ヤングマン」を歌わなければならないのだろう。それが良いのか悪いのか。幸せなのかそうではないのか。ヒット曲を持たないミュージシャンにとっては羨ましい限りなのだが、同じ曲をずっと歌う人生というのはどうなんだろうと思ったりもする。しかしKISSのド派手ライブを見る限り、彼らはそれを楽しんでいるようだった。彼らのようにスターとして世界をツアーで回るという人生は、ある意味観光名所のようなものだとも思う。NYに行けばエンパイアステートビルに登っておこうかと、パリに行けばエッフェル塔に登っておこうかと。同様に近くでKISSがライブやってる、じゃあ行ってみようかと、そんな位置付けで、だからエッフェル塔からの眺めがその日によって変わったりしないように、KISSのライブでも「聴きたかったあのヒット曲」が演奏されなければいけないのかもしれない。それはある意味歌舞伎の演目みたいに、何百年後に役者が変わっても、演じられる勧進帳は昔のままであるというような。KISSのメイクは歌舞伎の隈取と同じく、ポールもジーンもライブ不可能になったとしても、誰かが厳しい修行をして芸を極めて、代わりにそのステージをこなしていって欲しいと思うし、それが可能なのではなかろうかと、KISSARMYの人たちには怒られそうなことをぼんやりと考えたりしていた。
(2015.3.7)
(レビュアー:大島栄二)
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