アザヤイタ『最愛』
Panda Bear『Boys Latin』
小林未季
『テンポ』
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比較的低音域に特徴のあるボーカルが淡々と歌うこの曲、全体的に重く感じるのはその声質の故なのか、それとも歌う内容の重さ故なのか。いずれにしても軽くその時の雰囲気だけを和ませるような種類の歌ではないように感じて興味深い。歌詞を読むとまた別の意味も読み込めるのだが、ただ画面を眺めながら耳から聴こえてくる歌を感じていると、なんともいえない閉塞感に押されているような気分になってくる。曲のテンポに合ったメトロノームが映されるが、ブレイクを含んだ演奏とメトロノームがシンクロするのを眺めているだけで、心がスーッと吸い寄せられていくのが感じられる。メッセージソングのような側面ももちろんあるのだが、それ以上に癒しとは反対の、自責のような気分が醸し出されるという点ではかなり特殊な音楽なのではないかという気がする。いろいろな曲があっていいのだし、こういう曲は年に1度くらい聴いておいた方がいいような気がしてならない。個人的にツボだったのは後半主人公(?)が突然走り出すところ。途中の歩道に「マエムキ」という幟が立てられているところを通過する。マエムキの街に誰もいなくて、それがまあこの曲の面白さともシンクロしているような気がしたのだ。あの幟は偶然そこにあったものなのだろうか。それとも小道具として準備されたものなのだろうか。真実は別に知らなくていいけれど、とても興味深い。
(2015.3.3)
(レビュアー:大島栄二)
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