Laura Marling『Short Movie』
秘密のミーニーズ『ねずはうす』
入江陽
『仕事』
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京都のこだわり書店恵文社一乗寺店の音楽コーナーでずっと推されてる入江陽はとても変な音楽をやっている人で、その佇まいは「もう勝手にやっている人」というのが適切なのではないだろうか。もちろん音楽なんて勝手に作るものなのだが、それでも普通は多少リスナーのことを意識して適度なストライクを投げようとするものだ。さもなくばリスナーのことを意識する能力が欠落してるせいでどこにストライクゾーンがあるのか解らずにいる売れないミュージシャンである。しかし入江陽の勝手さというのは、リスナーというものを意識する能力もきちんと持っていて、しかし昨今の音楽はもう売れませんよスターになっても稼げませんよという現状もキッチリと認識しているが故に、じゃあ勝手にやらせてもらいますよ稼げようが稼げまいがオレこれ好きなんだしと、自分で自分なりのストライクゾーンを勝手に設定して投げているというような、そんな感じの勝手さ。それをはみ出し者と見るのか、ユニークと見るのか。それは結局聴く者のセンスに委ねられていて、彼が設定するストライクゾーンをストライクゾーンとして共感出来る人にしか届かない豪速球なのだろうと感じている。この1月にリリースされたアルバムからは複数の曲がMVとして公開されている。しかしこのアルバムタイトル曲がもっとも再生回数が少ないというのもとても興味深い。「やけど」という曲では曲の雰囲気も歌い方も井上陽水を彷彿とさせるし、アルバム収録最後の曲「たぶん山梨」というタイトルは「なぜか上海」へのおマージュが含まれているのではと勝手に解釈している。いや、まったくの勝手な解釈に過ぎないが。いいだろ。音楽なんて作者の意図通りに解釈する義務なんてないわけだし。それに勝手にやってるミュージシャンの音楽の正しい鑑賞法は、勝手に解釈して妄想することであるに決まってるのだし。
(2015.2.19)
(レビュアー:大島栄二)
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