クウチュウ戦『予言』
柴田聡子『いきすぎた友達』
綿めぐみ
『災難だわ』
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例えば、関西国際空港では、隣国、アジアの人たちがドラッグ・ストアで風邪薬、胃腸薬、紙オムツから買い占めてゆく、それは、この数年ではデフォルトな光景になった。自身の国で“それら”を買うのではなく、“それら”を求める場所が自身の国じゃなかっただけ、というのはあまりにショートカットが過ぎるだろうか。この彼女のMVにおけるリリックの刻印を活用し、絶妙に軽やかなビートの上で舌足らずな声で伝えられる“何か”は、高度に周到でもあるが、響くものも確かにある。「災難だわ」というメイン・フレーズをベースに、教科書の高さに言及したり、醒めた諦念的な何か、電線ばかりの街、様になれば結局はいい、のんびり育ってみたけど、結局は競争なんでしょ、なんてところまでカジュアルな白黒画像にフランクに撥ねる。気鋭の2人組ユニット
N.O.R.K.
のOBKRが設立したチーム
〈TOKYO RECORDINGS〉
からのアクションということもあり、深読みは幾らでもできるが、サウンド・コンポジションそのものが軽やかで、ダルな感じがいかにも今年以降のムードを象徴しているとも思う。今、白か黒かの景色の中で何を歌うか、歌えるか、は恣意的でも、作為性は起こり得ない気がする。要は、◎☆、ってことで。
(2014.11.6)
(レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
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