古宮夏希&コークスが燃えている!『もう少し』 Next Plus Songダイアモンド✡ユカイ『ハイポネックス』

おい、そこの道あけろ
『中央線』

 中央線というのはほかのどの路線とも違って、いつ手が届くとも知れぬ想いを叶える日を思いながら、楽器を鳴らす時間よりも酒を飲んでいる時間の方が多いミュージシャンたちが多く生息しているエリアだと思う。夢をそのまま受入れてくれる懐の深さは心地良く、だからいつまでもそこから抜け出せずにいたりして、それは幸せなのか不幸なのか、僕にはよくわからない。この曲は「過ぎた日々に未練など無く」という歌詞から始まっていて、確かにこの路線は未練というものを簡単に消去して現在を華やかにしてくれると僕も感じる。そういう力が無ければ、ミュージシャンなどという果てしない挑戦はやっていけないのだろうし、だから中央線というのはある意味奇跡のような空間なのではないだろうか。そんなことを、裏路地を入ったところにある侘しいアパートに暮らす多くのミュージシャンたちを思い出した。どんなに時代が変わり開発が進んでも、今も昭和が息づいているような、この独特な街の連なりが、僕は好きだ。
(2014.9.20) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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