ほたる日和『東京組曲』 Next Plus SongLighter190E『パンドラ』

オトノエ
『素晴らしいせかい』

 武骨なお兄さんが淡々と歌詞を連ねる。歌うというより連ねるという感じの言葉の発し方。「素晴らしい世界」というタイトルとは対極の、一種の絶望を思わせる言葉が次々と発せられて、そういう感傷の中で生きるしか術は無く、でもそんな中で誰かの役に立ったりすることがあって、だから淡々とした日々の中にこそ素晴らしい世界はあると思いたいのか。そんなことを漠然と思わせてくれるこの歌。90年代だったら拳を振り上げて絶叫のポジティブメッセージソングが若者を支配したのだけれど、2010年代のメッセージとはそんな押し付けがましさの無い、優しくも儚いものなのかもしれない。経済も音楽も完全に曲がり角にさしかかり、その曲がり角を完全に曲がってしまった現在。それでもなお生きていかねばならず、生きている以上は希望を胸に抱きながら過ごしていきたい。そんなことを、やはり漠然と1人1人が考えなければいけない気がして。
(2014.6.24) (レビュアー:大島栄二)
 


   
         
 


 
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