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pertorika
『五月雨の頃』

 00年代半ばからとはいわないが、とくには映画、音楽のアート分野で小刻みのカットを入れることで、現実の速度に適する閾値をとり戻そうとする動きがあり、例えば、事実、だれもが知っている『ドラえもん』劇場版映画が近年、カット・アップの巧みさとそれでいて、物語性を崩さない挿話を瓦解せしめないコンパクトさと情報量の多さは流石だと思った人はいるのではないだろうか。このpertorikaの『五月雨の頃』で重ねられるピアノ、楽器、反響する声、滲むフレーズ、当然に繰り返しの日常を受け止めてゆくような設定のMVを観ていると、不思議なくらい、今をまさに生きている人の呼吸がしっかり聴こえてくる。誰もが心当たりのある場所が、誰しも心当たりがない、かもしれない、そういったことを音楽が担わないといけない瀬になっているのかもしれず、この曲からは裁断と接続の繰り返しのなかで思い出されるレトロな「情感」が浮かんでくる。
(2014.6.7) (レビュアー:松浦 達(まつうら さとる))
 


   
         
 


 
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