彼女の声や存在感は、眩いほど晴れやかな生命力を感じる。オリエンタルなエッセンスから最近では笠置シヅ子の「買い物ブギ」のカバーもするなど、大らかな声とバイタリティにあふれ、豪放なところに優しい情感も浮き立つ。ハイブリッドな多国籍性だけではなく、独学で楽器のみならず、衣装の自作、イラストまで負う、その貪欲で過剰なエネルギーの裏には、きっと、自分で拡げられる得るべき可能性や国境は出来る限り荒くても、越えてみる価値はあるというような尽きせぬ好奇心と、日本の規範の音楽とは、というものへの疑義呈示もあるのだとも思う。彼女のバラエティーに富んだ曲と発想が気になったのならば、他の作品や動画もチェックしてほしいが、この『キラキラ通り』はMVそのものと、コメントにある“去年(2012年)の秋、たまたま東京にきて墨田区京島にある小さなカフェでライブしました。そのすぐそばにあったのが「キラキラ橘商店街」で大好きになり、こんな町に住みたいなぁ、という妄想がどんどんふくらんでいって出来た曲です。”からして、何だか春先にはこういう歌を聴いていたくなる。余談だが、このmusiplの大島編集長はキラキラレコードの主宰で、“キラキラ”という言葉は何か結びつけるものがあるのかもしれないとも。 (2016年1月1日、この動画が削除されていることを確認しました。レビューの文面のみ残しておきます。)