Quinka, with a Yawn『ハルニレ』
【あの年代、ちゃんと好きなものがあって生きていた】
どんどん音楽をきかなくなってゆく。嫌いになったのではなく、自分がどんな人だったか忘れてゆく。プレイヤーの過去データをたまたまクリックして、これはいいなと思う程度。3年後にはもっと薄れていそうだ。検索結果、少し時代を遡るとSNS以前のファン語りは激減する。ブログと個人ページが消え去ったからだ。はたして私が音楽を好きだったことが、どこかに残ってるだろうか。探したならばそれ程再生増えていない音源がネットにあり、そこに自分のアカウントで高評価をつけた印があった。あの時の私はもう居なくなってしまったけど、あの年代、ちゃんと好きなものがあって生きていた、そのことが分かる、自分だけに分かる。
(2021.8.6) (レビュアー:北沢東京)