Mdou Moctar『Afrique Victime』
【アフリカンテイストと縦横無尽に炸裂するギターサウンドの組み合わせが刺激的】
「砂漠のジミヘン」という惹句もよく目にする。確かに、この音、そしてレフトハンドギターを構える佇まいから、そう称されることも納得できる。アフリカンテイストと縦横無尽に炸裂するギターサウンドの組み合わせは刺激的だし、このグルーヴ感もたまらない。ただ単純にかっこいい。もし通常の形式でフジロックが開催できたならば、ラインナップにその名を連ねていたのではないだろうか。現地、ニジェールの首都(ニアメー)でのライブ映像は、邦楽あるいは西洋音楽という狭いフィルターでしか音楽文化を体験していない私にとって、非常に新鮮だ。もちろん、それも「アフリカにおけるギターサウンド」的な枠組み(タグづけ)での視点から逃れ切れていないのだろう。それでもこうした「融合」を目の当たりにすることで、興奮するのは必至。アルバムをくり返し聴いているが、まるで飽きがこない。上半期ベストアルバム候補としても推したいほどのいかした作品だ。
(2021.7.7) (レビュアー:夜鍋太郎)
ARTIST INFOMATION →