Subway Daydream『Teddy Bear』
【期待するだけでワクワクしてしまう軽快なポップミュージック】
軽快だということが正義だということがよくわかる曲だ。この曲に哲学的な内容とか無くてもいい、というか無い方がむしろいい。テディベアへの想いとか、そういうのを多少込めてあるのだろうと思うけれど、そんな想いなんてどうでもよくて、「テディベア」のところを「テリーさん」や「テイーバー」などと置き換えたところで曲の価値は一切変わらない。テンポ感がめっちゃよくて、鳴っている楽器の音がことごとく輝いてて、リズム隊の低音だってドシンではなくてスパンだし、もう、要するに、全部が軽快方面に向かって突き進んでいる。ポップミュージックの真骨頂ってこんな感じだと思うんだなあ。このMVには本人たちが出てこない(出てきてるかもしれないけど、よく分からない)のだが、他のMV、例えばこの『Timeless Melody』ではバンドメンバーが狭い部屋にぎゅっと詰まった感じで演奏している様子がわかるようになっている。画面をカラフルにしたいのか、衣装も明るい色の服を選んでいるのがわかる。でも、そんなことしなくてもサウンドがひとつひとつ輝いてて、ポップで眩しい。ボーカルのキー的にかなり広いレンジのメロディになっていて、低音部分では少々難しそうに喉を押しつけたかのような歌唱をしているものの、そのギュッとした感じの歌い方もまた結果的にカラフルな印象につながっていて、好感が持てるというよりもシンプルにめっちゃイイ。他の曲では男性ボーカルもメインな感じで出てきてて、それもなかなかイイ。なんでこんなに軽快なポップが生み出せるんだろう。もしかすると、逆にどんな曲を作ろうとしても軽快なポップにしかならないとか悩んでる可能性だってあるけれど、それはもう、イイじゃないか。今後の活躍次第では、軽快なポップミュージックをやらせたらSubway Daydreamの右に出るバンドはいないくらいにもなるだろうし、きっとそうなってくれるに違いないと期待して見ていられる。そうやって活動状況を見続けることそのものがきっと楽しすぎるに違いなくてワクワクする。
(2021.6.3) (レビュアー:大島栄二)
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