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JAGATARA『みちくさ』
【生きていれば、今もよくわからないような曲を作って歌っていたのではないか】

このあいだJAGATARAを久しぶりに聴きたくなって、聴いてみたら意外と普通だった。なんだろう、時代が丸くなってしまったのか、それともこちらの耳が丸くなってしまったのだろうか。JAGATARAは1980年代に活躍したバンドで、今ではファンクとカテゴライズされてて、多分当時もそうだっただろうし、改めて聴いてみるとファンク以外の何物でもない。だが当時は確実に特殊なバンドで、ファンクとかいうジャンルの音楽をやっているというよりも、JAGATARAというムーブメントを展開していたかのような印象があった。それはボーカルでありリーダーの江戸アケミの特殊さによるもの。まだ音楽とリスナーの接点が音楽専門誌90%という時代に、熱狂的な一部ライターや編集者によって偶像化されたものだったように思う。今のようにSNSで情報が先行拡散し暴走するという時代に、同じような評価を得たのかどうかは疑問もある。

とはいえ、普通のファンクと感じた彼らのライブを見ていると、江戸アケミの存在感は確かに凄かったなと改めて感じる。1990年にその江戸アケミが急逝し、バンドとしての活動は終焉した。はずだった。彼の没後30年を機にJagatara2020として再始動したという。とはいえボーカルの江戸アケミはいないので、代役を立てることになるのだが、生前から親交のあった元SUPER BADの高田エージがゲストボーカリストとしてマイクを握った。親交があったとはいえ高田エージはロックの人で、彼が歌えばファンクという感じは無くなる。まあその方がジャンルに括られることなく混沌さを表現するといえなくもない。そもそも、そういう30年も前に亡くなった人の音楽を今の時代に老いた人たちが集って演奏するということにどういう意味があるのかよくわからないし、生きていたら60代後半になっていた江戸アケミは、今も変わらずにライブで30年以上前の歌を歌っていたのだろうか。それは誰にもわからないことだけれど、生きていれば、今も新しい曲を、よくわからないような曲を作って歌っていたのではないだろうか。ひっそりと、あいつまだやってるよとか言われつつも。

(※2021.7.24時点でオリジナルのライブ動画が他サイトでの埋め込み再生ができないようになっていました。そのため、文中にあるJagatara2020のライブ動画を表示しています。オリジナルのライブ動画をご覧になりたい方は、こちらをクリックしてYouTubeで再生してください)

(2021.5.29) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl