Julien Baker『Hardline』
【私たちの感情を揺さぶるエモーショナルな歌声】
以前、彼女が参加するユニット、boygeniusについてはレビューしたが、ソロ(本職)としては初めて取り上げる。2月にリリースされた新作アルバム(4年ぶり3枚目)がすばらしかった。2021年上半期においても秀逸な一枚と言えるだろう。元々、曲作り、そしてのびやかで生命力あふれる歌声には定評のある彼女だが、期待以上のものが届けられた。ポップで豊かなメロディー、アレンジも巧みで新鮮な刺激にあふれている。この曲においても比較的シンプルな構成で始まるのだが、徐々に音数も増えていく。それに伴い、曲調も劇的に展開して、より強烈にエモーショナルな彼女の歌声が届けられる。それを耳にする私たちの感情も揺さぶられてしまう。また、MVのストップモーションアニメはやたらと手が込んでいて、くり返し見聞きしたくなる。ラストのギターの余韻もたまらない。アルバム全体を通して、作品に対する彼女の真摯なまでの熱意を感じられ、自然と胸が熱くなってくる。
(2021.3.31) (レビュアー:夜鍋太郎)
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