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MAGIC OF LiFE『記念日』
【きっちりと主張も存在感もある。それでいて、強すぎない】

2年半ほど前にファルセットの洪水と評したMAGIC OF LiFE。久しぶりに聴いた彼らの曲、彼らの歌はそれとは少し様子が違っていた。ファルセットが消えた訳じゃなく、今も歌の特徴の中心にファルセットがあるのだけれど、それが特別特徴的なものとして目立つようではなくなっていた。それよりむしろ地声に近いシャウトが所々に聴こえて、歌に強さを感じられる。しかしそのシャウトも押し付けがましいところはまるでなく、歌の持つ世界を最適の状態で伝えるための表現として行われているだけで、すべてが歌を伝えようという目的のために行われているような緻密さを感じた。

サウンドの面も、2年半前のやや攻めた感じのものとは違い、優しさと落ち着きを兼ね備えたシックなものになっていた。もちろん曲によって表情が違うのは当たり前のことだが、歌詞や声以上に、ただそこにあって押しつけのないサウンドになっていて驚いたし、そういう演奏へ進化したからこそ、この曲の世界をさらに深くさせているのだろう。だからといって歌手の伴奏をするだけというのではなく、細かなフレーズなどにきっちりと主張も存在感もある。バンドならではのサウンドになっている。それでいて、強すぎない。あきらかに前回のレビュー時よりもバンドとして成長しているようだ。

この曲で歌われているのはパートナーへの愛であり、それを確認する行為だ。あと50年生きるなら大体20000日で、だから今日は1/20000の記念日だという。いや何の記念日なんだと冷静によく考えたらツッコミたくなるものの、曲を聴いている限りツッコミたくなどまったくならない。それは、50年で20000日という事実が絶対的だからなのだろう。正確なことをいうなら、50年ちょうどで18263日(閏年で多少違ってくる)なので、1割くらい違っている。だが1/18263の記念日と歌っても意味がないし、50年生きるということが既に仮定の話で、55年生きれば20000日くらいになるのだから、そこをツッコんでもまったく意味がない。50年ほど生きる20代後半から30代くらいの人には、おおよそ20000日しかないから、1日1日を大切にしようよと感じてもらえればいいのだろう。25年くらいしか生きられなさそうな50代後半から60代はなおさら大切にしないといけないのだなとかなりシビアな気持ちにもなる。だからもしかすると、20代の人に較べて余計にグッと感じられたのかもしれない。

(2021.3.23) (レビュアー:大島栄二)


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MAGIC OF LiFE, review, 大島栄二

Posted by musipl