AFTER SQUALL『EXTRA』【突然の雨とそれが止んだ時のなんともいえない晴れやかな気持ち】
アフタースクールかと思ったらアフタースコール。スコールというのは急に降ってくる大雨だとばかり思ってたら、どうやら激しい天候変化を伴う風速の増加現象のことらしい。それとは別に「金切り声で叫ぶ」という意味もあるそうだ。彼らの曲を聴いて、いったいどちらの意味がふさわしいのかを考えてみた。急に風速が増加して激しい雨が降った後の感じと、金切り声で叫んだ後の感じと。強めに歌う音楽性からすれば金切り声の叫びの方がふさわしいようにも思うが、しかし、どうにも爽やかな感じが強く印象に残るのだ。メロコアと言っていいのだろうかこの音楽。ジャンル的な定義はどうでもいいといえばどうでもいいんだけれど、サウンドやリズムからはやはりメロコア的な何かを感じる。メロコアといえば基本的には強めのサウンドとメッセージを基調にするものが多く、爽やかと感じることはそう多くない。しかし、このアフタースコール、めっちゃ爽やかだ。ボーカルのたいようみゆさんが持っている何かなのだろうか。このMVの中で彼女はそんなに笑顔をふりまいたりはしていないし、むしろ眉間に皺を寄せてカメラを睨んだりもしている。それなのに、爽やかだ。聴いていてとても心地良い。そういうことを考えても、やはり金切り声よりも突然の大雨の方がピッタリくる。湿度の高い空気を洗い流すような突然の雨。その雨が上がった瞬間の心地良さ。また太陽が雨水を蒸気に変え、すぐに湿度が高くなってしまうのが解ってはいるものの、やはり突然の雨とそれが止んだ時のなんともいえない晴れやかな気持ちを、彼らの音楽は体現しているような気がするのだ。
(2020.8.4) (レビュアー:大島栄二)