グソクムズ『夢が覚めたなら』
【この曲は普遍的に(とても懐かしくて)良い曲だ】
なんだろうこの懐かしい感じ。2020年に活動している現役のバンドに向かって懐かしいはないだろって、言われそうだし自分でもそう思うが、懐かしいんだから仕方ない。何十年代っていえばいいんだろうか。70年代? 個人的には松田優作あたりが出ていたテレビドラマの挿入歌みたいな感じ。あらゆる音楽ジャンルが出尽くして、昔懐かしいジャンルも最新の音楽と並行して存在できる現代だなあと思うし、こういう音楽が新曲として存在するならば、70年代を懐かしく思いつつ70年代にリリースされた音楽ばかりを聴くのではなく、現役の最新曲を聴くことができて、イイと思う。
そうはいってもそういう70年代っぽい曲がこれだけで、他のはめっちゃ最新のBPMも200に迫ろうとする曲とかじゃないのかと疑って、他の曲を聴いてみる。YouTubeに上がってるのをいくつか。うん、そうじゃない。どれも70年代だ。そもそもここで70年代といってること自体が間違ってる可能性も否定できないけれど、僕なりの70年代ミュージックがこれだという前提で言えば、グソクムズの曲はみんな70年代テイストだ。このなんとなく高中っぽいギターの音色も70年代っぽい。いや、高中は80年代じゃないかといわれるかもしれないが、そんなことはどうでもいい。80年代という言葉が持っているバンドブームとかマイケル的な何かとは違う、70年代っぽさがここにはある。ギターがボトルネック使ってるかのような音出してて、実際は使ってなさそうなんだけれど、そういう音作りもとても良い。懐かしさに満ちている。現役なのに懐かしい。そういうの、プラスの評価だと思ってもらえるのかなあ。どうなんだろう。いや、リスナーやアーチストにどう思われるかなんてどうでも良いのだ。聴いている僕自身が懐かしくってめっちゃ良いと感じたということがすべて。そもそも、10代の人がこの曲を聴いて「あああ、70年代っぽくて懐かしいなあ」なんて思わないんだろうし。知らないんだし。それでもきっと良い音楽だなと感じるのではないだろうか。そう、懐かしいとか懐かしくないとか関係なく、この曲は普遍的に(とても懐かしくて)良い曲だと思うのだ。
(2020.7.20) (レビュアー:大島栄二)