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山崎あおい『0314』【勝手な自分のストーリーを投影するにはピッタリの、包容力のある曲】

昨日レビューしたmotorpoolの曲で女性ボーカルのコーラスが「あれっ、何か聴こえた?」程度の存在感だと書いて。そんな書き方したら怒られたりしないかなとビクビクしながらサイトを見ていたら、この山崎あおいさんは彼女のソロとして活動をしているシンガーだということを知り。というか2012年にメジャーデビューしているソロシンガーじゃないですか。じゃああの薄ーく入れているコーラスは一体何なんだとも思ったりしたけれど、あのくらいの薄い存在感だからこそユニットとして成立している訳で、山崎さん前面に押し出してのユニット活動だったらユニットでありながら山崎さんのコアファンばかりが聴く音楽になってしまうのかもしれないし、それはそれでつまらないことかもしれないと思った。山崎さんの歌をメインで聴きたい人はソロ活動のパフォーマンスを追えば良いのだし、こうしてソロでの活動もしっかりちゃっかりやってるし、4月にアルバム出たばかりだし。

というわけで、ちゃんと聴きます、ソロ活動。めっちゃ良いです。アルバム出すということで、このところいろいろと動画アップとかされてて、自宅でMV撮るとか12時間で曲作るとか、プロモーション活動も大変ですねとは思うが、自粛じゃなければ各地のラジオやCDショップインストアとかやってたんだろうし、それで伝わる層と伝わらない層があって、この動画アップによって伝わる層もあるし、これなら誰だって出来るプロモーション活動だし、そういう方法がある2020年ってすごいなって思う。そういう各種動画をいくつか見て、その中で個人的に1番良いなと思ったのがこの『0314』というミディアムテンポのバラード曲。この曲は3月14日に予定されていたライブで発表する予定だったのに、ライブ自体が中止になったために急遽撮影されたMVだとか。その割には公開が3月15日なので、ライブ予定だった会場で撮ったんだろうかとかいろいろ考えながら観た。アルバムにも収録の『0214』へのアンサーソングということなのだが、それはバレンタインデーに対するホワイトデー的な意味なのか。しかし深く歌詞を読み込まなければバレンタインデーのこととかわからないような作りになっている。0214がバレンタインのことを歌っているのだとすると女性である自分のことを「僕」と表現していて、だからこの0314でも「僕」と表現されている主人公は男の方なのか女の方なのかよくわからず。2020年において女子が自分を僕と呼ぶのはそんなに珍しいことじゃないし、一方で男子が自分を僕と呼ぶのも普通のことで、だからこの0314がアンサーソングだとした時に、この曲が男子からのアプローチなのかどうかもよくわからなくて、ただただ漠然としつつも桜色に染まる君の顔というビジュアルだけが脳内に広がっていく。ひとつ言えるのは、どちらの曲も片想いが片想いのまま成就することなく終わってしまっているということ。切ないな、とても切ないよ。しかしながらそういうぼんやりとしたまま結果が出ないというのも青春によくある光景であって、もやもやとした想いを抱えつつ生きている若者にとってこの曲は、聴いて勝手な自分のストーリーを投影するにはピッタリの、包容力のある曲なんだろうと感じる。

(2020.6.12) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二, 山崎あおい

Posted by musipl