Uru 『あなたがいることで』
【個性的な声よりも歌のうまさが先に立つのがUruのすごいとこ】
Uru、歌うまいよなあ。歌手なんだから歌がうまくて当たり前なのかもしれないけれど、そんなのわかってるけれど、それでもあらためてうまいなあと感じずにはいられない。じゃあうまいってどういうことなんだろうと考えてみる。音階通りに歌えるとか、抑揚というかそういうのの付け方が絶妙とか、そういうことなんだろうか。そういうのももちろんあるけれど、それ以上の何か。それ以上って要求し過ぎじゃないかって思うけれど、よくよく考えるとそれがやっぱり必要なんだ。
プロの歌手としてその歌で他と差別化ができて、その差別化された独特の何かによって他とは替え難い存在となって、ファンがずっと離れないでいてくれる。そういうのが必要なのであり、それが無ければただの歌がうまいおねえさんでしかない。だから独特の声とか歌い方とかを各シンガーが苦心しながら編み出していくのだが、それが過ぎると「個性的な声だね」というのが先行してしまって、歌のうまさは薄れてしまう。大前提として歌が下手ではダメなんだけれど、うまいだけでもダメで、だからみんな個性を打ち出すんだけれど、その結果歌のうまさが影を潜めるというのが、トップクラスのシンガーの中での並、なんだろう。
その点、Uruの場合は歌がめっちゃうまくて、それなのにただ音として流れてきた時にちゃんとUruだとわかる個性がしっかりとある。個性があって他とはめっちゃ違うのに、まず「歌がうまい」というのが先行する。この辺がUruの凄いところだ。
(2020.5.23) (レビュアー:大島栄二)