NUMBER GIRL『透明少女』【久しぶりに見た、再結成後のナンバガ】
NUMBER GIRL、知らないうちに再結成してた。しかも再結成から1年以上経過していた。2002年の解散から17年ぶりの再結成ってどうなんだろうか。最初の活動期間が7年だったので、その2.5倍もの期間が過ぎ去ってて。それでも待ち望んでいた人は多かろうが、伝説は伝説のままでいて欲しかったという人も決して少なくはなかろう。再結成を祝すのも呪うのも、それぞれのアーチストへの愛の形なのだろう。それにしても向井秀徳が普通のオッサン然としてて面白い。そもそも外見をどうこうという人じゃなかったし、聴く側としても向井のルックスをどうこうなんて考えたことなんて無かった。だけど、この無観客ライブの動画を見ると、歳とったなあと感じてしまう。ルックスだけだけど、それも向井のルックスだけだけど。なんなんだろうかこの感じ。向井の姿に若さを求めていたんだろうか。そんなことはない、まったく無いはずだったんだけれども。
楽曲はどうなのか、パフォーマンスはどうなのか。熱量だけが人生みたいなエネルギーに溢れたバンドだったNUMBER GIRLの、その部分はまったく変わっていない。彼らがこの曲で出てきた頃、今から23年前には向井も23歳で、9歳年上の僕からはめっちゃ若造に映っていたのだが、今となっては9歳の年齢差など誤差の範囲。そういう意味では若造の表現から同じオッサンの表現となり、余計なフィルター無く聴けるのは嬉しいし、それゆえのリアリティを感じられたりもする。それは向井と同世代のリスナーとは違った感覚なのだろうし、再結成後に知ったかもしれない若い世代の感覚とも違うものだろう。若い世代が今新たにNUMBER GIRLのファンになるのかどうかはよくわからないけれど。
(2020.5.9) (レビュアー:大島栄二)