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Sano ibuki『マリアロード』【感情を抑えた歌唱の中にほんのわずかだけ見られる感情の放出。その対比で構成された歌】

映画のエンディングテーマになっているらしい。その映画は男性同士の同性愛カップルの恋愛を描いたもの。観てないのでどんな結末なのかは知らないし、知ってたところで結末を書いてしまうのはNGなのでアレだが、このMVについているコメントには、エンディングでこの曲が流れた瞬間に泣けたという感想が並んでいる。

一方このMVでは美少女が登場して、Sano ibukiとすぐそこまで近づくのに手が届かないという演出がなされている。

僕は最初この曲が映画に使われていることも、その映画の内容についてもまったく知らずに聴いて、ああ、いいなと感じて。彼の感情を抑えた歌唱の中にほんのわずかだけ見られるシャウトであり感情の放出。その対比で曲が構成されているといっても過言ではない。メロディだったり使われている楽器の音だったり、そういうものが生む効果としての感情の後押しももちろんあるけれど、それだけでこの「いいな」は生まれないのではないだろうか。このバックトラックを使って別の誰かが歌ったとしても同じ良さは生まれないだろう。逆に彼が歌えばアカペラであっても同様の感情をリスナーに生むはずだ。そういう何かを持ったシンガーなのだろう。

(2020.4.17) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl