海里『春の歌』【ライブハウスのイベントまで自粛させられた期間に、オープンエアの駅前に届けられた季節の音楽】
春が来て、卒業旅立ち、引っ越しシーズン。直接的には知り合いでない人もそっと入れ替わる。マクドナルドの高校生バイトや、コンビニのレジの人。一回しゃべった店員さんが故郷へ帰っていた。新しく来た人に気づくことはあるけど、見なくなった人がもはやどんな人だったか思い出さない。高円寺駅前の路上もしかり。新鮮な人が居ると見てみたら「ひどい似顔絵500円」とか音楽以外の芸事をする風景に、はじめて聴く歌声が春風のように流れてきて、海里さんの路上ライブでした。世の中に新型ウィルスが流行り、大きなコンサートからライブハウスのイベントまで自粛させられた期間に、人がとどまらないオープンエアの駅前に届けられた季節の音楽でした。
(2020.4.10) (レビュアー:北沢東京)