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FEZ INVICTA『Bottle Up』
【それぞれの音が自分を主張して、その主張ぶりのバランスが絶妙で、聴いていて心地良い】

イントロのギターがカッコいい。このバンドにある2本のアコースティックギターがベストな相性で響きあっていて美しい。そこに絡んでくるベースのアコースティックっぽい音とブラシスティックのドラム。すべての組み合わせがめっちゃいい。もちろん後付けで音を調整することもできるけれど、アコギの場合その幅はエレキギターのそれと較べて狭いし、かなりそのギター自体が持っている音がそのまま出ているんじゃないだろうか。楽器の音がそのまま出た場合、実際には違和感があったりするものだ。違和感というのが言い過ぎだとしたら、物足りなさとか、バランスの悪さとか、そういった類いの。だからレコーディングをする際に個々の音に対してエフェクターかけたり音量調節をしたりしていわゆる「良い音」に仕上げたりする。

そういう観点からすれば、この曲のこのサウンドはけっして安定した最終サウンドとは呼べない代物である。もっともっといじろうと思えばいじるポイントは思いつく。だが、このままでもいいやんと思えるだけのカッコよさが既にある。ひとつひとつの楽器が「オレはオレでこの音を鳴らしてんだよ」と主張しているようで、だからけっして混ざりあってなくて、聴き様によればもっとまとまれよということにもなるのだろうけれど、そうやってまとまって個性を失うことでこの曲が得るものはひとつも無いんじゃないだろうか。そのくらい、それぞれの音が自分を主張して、その主張ぶりのバランスが絶妙で、聴いていて心地良い。

(2020.4.9) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl