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Ben&Ben『Make It With You』【楽器構成が違ってるわけじゃないのに明確に独自のスタイルを生み出している】

フィリピンの人気バンドBEN&BEN。9人組のセンターに立つ2人のギターボーカルが双子で、ベンジャミン-グイコ兄弟なのでBEN&BEN。最初はこのルックスでなんだなんだと思ったけれど、このムーディーなサウンドに、もうルックスなんてどうでもいいもんねと、いやむしろこのルックスカッコいいじゃないかとまで思うようになりました。なんというか、サウンドにスタイルがある。そんなの当たり前じゃんかといわれそうだけれど、意外とスタイルが明確なバンドっていないですよ。例えていえば、ゴンチチはどの曲もゴンチチだし、スカパラもどの曲だってスカパラだし、小野リサだってどの曲も小野リサ。だけれどもサウンドが明確なスタイルになっているというよりも、楽器構成がスタイルだし、やっている音楽ジャンルがスタイルみたいなもので、だからといって彼らの音楽にイチャモンつけるとかじゃないけれど、音楽がスタイルに結実しているというのとはちょっと違うと思ってる。一方でBEN&BENの音楽、こういう音楽を聴きたいシーンというのは明確にあって、例えば穏やかにドライブしたいとかいう時にピッタリだと思います。もちろんそれは彼らボーカルの声によって生み出されている雰囲気という意見もあるかと思うけど、それだけじゃない、彼らの音楽が見事にスタイルになっていると、普通のバンドと楽器構成が違ってるわけじゃないのに明確に独自のスタイルを生み出していると、そういうのを感じるわけです。

こういうのを見ると、フィリピンの音楽シーンってどんなだろうなあとか、フィリピンに限らずアジアの、中東の、東欧の、アフリカの音楽ってどんなだろうなあとか夢想します。まだロシアがソビエトの頃に、どこかの情報でソビエトのロックバンドが来日とかいうのを耳にして埼玉まで観に行ったことがあって、いや、たいしたバンドじゃなかったんですけれど、何故だか日本にやって来るバンドを現地に観に行かなければならなかった時代と較べて、今はこうしてちょっとネットでググれば現地で大人気の、そして聴いてみたら驚くほど洗練されている音楽に接することが出来る。なんということでしょう。もちろん以前のように限られた情報と機会の中で落ち着いて音楽を吟味できるというのも良いし、世界中の膨大な情報の中から本当にステキなのを見つけることの困難さもわかっているけれど、やっぱり、頑張ればすべての情報の中から見知らぬステキな音楽にも到達できる今の方がやっぱり良いなあと思う次第です。そんなことをBEN&BENのメロウなアコースティックサウンドを聴きながら感じましたよ。

(2020.2.10) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl