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Spection『ジャンプ!!』【頑張ってその元気を世界中の人たちに伝えておくれ、とは密かに願ったり】

元気ソング。元気ソングというジャンルはあると思うし、もしもなかったなら音楽なんて存在する意味なんてないんじゃないか。人を鼓舞する歌。歌が鼓舞しなければこの世は闇だよ。僕が学生の頃に渡辺美里が「My Revolution」を歌って、ZARDは「負けないで」を歌って、槇原敬之は「どんなときも。」を歌った。そういう歌に励まされた人も多かろう。だからそういう元気ソングはいつの世にも絶対に必要な音楽ジャンルのはず。

鳥取で活動するというこのSpectionの曲もめっちゃ元気出る。ボーカルの清水大地のこの垢抜けない笑顔がめっちゃいい。歌詞が微妙に韻踏んでて、その韻の踏み方が曲の元気さという本質とはまったく関係ないけれど、そういうところにも気をつかってるよというのがなんとなくいい。形式的なそういうところはアレだけれど、元気を出すためのヒントというか、「捉え方によっちゃ悲しいことが 捉え方によっちゃ希望の光だ」という超本質を突いた表現によって元気ソングとしての価値を数百倍にしている。そう、形なんてどうでもよくて、それをどう見るかによって風景は変わってくるんだよということが大事で。そういうのがちゃんと伝わってきて、すごい。めっちゃ元気出る。

MVの作りが一発撮り方式になってて、そういうのも見所だ。途中に寸劇のようなコントのような演出が入り、演奏シーンが入り、ミュージカルのようなダンスや小道具パフォーマンスが入り、実に良く練られた動画だ。アマチュアでもやればちゃんと出来る。3分あたりのところでカットが一旦途切れたかと思わせるようなシーンがあるが、これも衣装をカメラにかけて暗転させてボーカルのアップに転換するという仕掛けになっているようで、なかなか考えられていると唸らせるよ。1分57秒からの、清水大地が落ち込んで、そこにバンドメンバーが横に並んで歩き始めるところとか、感動的ですらある。演出としては特別凄いということでもないし、ビジュアル的に整った場面でもないけれど、だからこそ誰にだって横に並んで歩いてくれるヤツはいるよというメッセージがリアルに感じられる。いい、いいよ鳥取のバンド。全国区になれというプレッシャーをかけるつもりもさらさらないけれど、みんな頑張ってその元気を世界中の人たちに伝えておくれ、とは密かに願ったりしてみる。

(2020.2.6) (レビュアー:大島栄二)


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review, 大島栄二

Posted by musipl