Official髭男dism『イエスタデイ』
【結局バンドである以上パフォーマンスが良ければそれで良いのであって】
昨年末の紅白で、ヒゲダンが結構目立ってたなと感じましたよ。個人的にはKing Gnuの白日に注目してたけれど、実にシンプルに演奏して歌ってて、わりと拍子抜け。Mステでなんかやらかした(見てないけど)と炎上に近い盛り上がりを見せたようなことはまったく無かった。Mステと紅白ではやらかしのハードルは結構違ってたのかなあと想像します。まあ白日歌うのにやらかす必要はないのかもしれないし、あの時とは状況も違ってきてるのかもしれないし、紅白を見てる人たちに敢えてアピールする必要は彼らにはないのかもしれないし。
んで、ヒゲダン。musiplで最初にレビューしたのが2015年の、まだインディーだった頃のこと。昨年くらいから急にいろんなところで名前を見かけるようになってきて、ああ、売れてるんだなあと感じてました。もしかしたら一昨年までにもかなり売れてたのかもしれないけれど、特別にウォッチしてない立場の僕にまで売れてるみたいだなあと感じさせるようになってきたのは昨年から。良いことです。んで、紅白で久々に観て。彼らの音楽スタイルからも紅白視聴者全般にアピールしそうで。ある意味スキマスイッチがいなくなった(いなくなってないけど)ポジションを各種バンドやアーチストが争ってたバトルに勝利した、みたいな印象。今回ロックバンドやポップバンドが軒並み別スタジオでの出演だったりで司会者との絡みもやらなかったのに対し、ウッチャンや綾瀬はるかに髭男爵ネタで絡まれてて、「ルネッサ〜〜ンス」とか無理矢理言わされてて、正直どうかなという気もしつつ、逆に懐の深さを感じさせてくれたりもした。結局バンドである以上パフォーマンスが良ければそれで良いのであって、その点は出演バンドの中でも出色の出来だったと思う。
2015年の5月にレビューをして、その時に「ちょっとばかしバンド名が読みにくいなって思うけれども、それが特徴となって知らないやつはモグリと言えるくらいにビッグになってください」などと書いていた。今回紅白を家族と見てたら、みんな「ひげおとこ?」「ひげだんしゃく?」とか言ってて、ああ、国民的に普通にヒゲダンディズムと呼ばれるにはまだまだなのかなあと実感しつつ、しかしこの紅白出演が、ユニークなバンド名が国民的に浸透していくきっかけとなるのかもなあとちょっとだけ感じた。
(2020.1.11) (レビュアー:大島栄二)