Tyler, The Creator『EARFQUAKE』【儚げなトラックと複雑なコード展開によって、切なさが極まってくる、癖になってしまう】
今年一発目ということで、 2019年の個人的ベストを紹介したい。全米のチャートトップを獲得したアルバム「IGOR」のみならず、曲単位でもこれがベスト1だ。このEARFQUAKEというタイトル、アースクェイクのことを指しており、恋愛について歌ったものらしい。つまり、傷心したり心を揺さぶられたり、打ちのめされた状態の歌だ。そのリリックを完全に理解できないにしても、儚げなトラックと複雑なコード展開によって、切なさが極まってくる。同時にきらめきも感じさせる曲調で、とにかく癖になってしまう。おかげでリリース以降、やたらと聴きまくった。イントロからぐっと心奪われて、どこか落ちていくような気持ちよさと、まばゆさと、メランコリックさ、それらの印象がめまぐるしく入れ替わる。また、どこか徹子の部屋をイメージさせるようなMVも最高! 内容はばかばかしいはずなのに、曲調もあいまって、切なくもある。映像においても、2019年はつくづく、この曲の虜だった。
(2020.1.1) (レビュアー:夜鍋太郎)