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バックドロップシンデレラ『バズらせない天才』【再生回数というのが必須条件なんだなということをあらためて再認識させてくれる】

バンドが売れるというのは永遠のテーマで、そのために日々悩む。戦略と実践。現代ではYouTubeでの再生回数というのが必須条件なんだなということをあらためて再認識させてくれるMVだ。良い歌を作って良い演奏をしていれば必ず売れるというアマチュアミュージシャンも多くて、そりゃあ大切なことだけどそれだけじゃダメじゃんというのがスタッフとミュージシャンの永遠の葛藤。スタッフ側はどうしても戦略先行で考えちゃうけれどその通りにしていれば音楽が置き去りになるわけで、その辺のバランスは本当に難しい。

その昔はまず対バンライブに出て他のバンドのお客さんにアピールしようとか、ストリートでライブやってみようとか、ネットのない時代は本当に大変で、ライブやるのを知らせるにもハガキを使えば50円とかかかるし、電話でも10円かかる。200人に伝えようとすれば時間も金もかかって仕方ない。しかしネット時代。告知するだけなら無料でできるようになって、本当に楽。しかし誰でもやってるのでただ「ライブやります」だけでは誰も見向きもしない迷惑メール化してしまう。そんな中で今やMVをバズらせる。そりゃそうですね。100万回再生されてれば100万人が(理論上は)曲を聴いているわけだし、しかも「おお、こいつら人気者じゃん」と勝手に誤解してくれる。昔は大きなライブハウスやホールでのライブ経験ありということがステイタスの安易な証だったけれど、今はYouTubeでの100万回再生。なかなか難しいですよね。ホンモノの人気者になってしまうか、それとも次のおすすめに出してもらうように広告を打つか。やっぱり費用はかかるものです。悩ましい。

バックドロップシンデレラは一昨年春に『フェスだして』でレビューしてて。その時から売れるための方法論みたいな曲をやってて面白い。一貫してるのは何事に於いても良いことです。で、オープニングのデカい会場でのシーンはともかく、一発撮りのMVが面白いし、使われている会場が池袋のアダムで懐かしい。正方形みたいなスペースの角を利用した三角形のステージで。そこから階段を上がって池袋の片隅をメンバーが歩いて行くちょっとしたアド街ック的な演出。また戻ってくるまでの数分で客席にお客さんを入れて、盛上がってる演出。見ていて、ああ、バンド活動も盛上がってくれよ、ここ数年こんな感じが池袋アダムだけだとやっぱり切ないかもなとか思ってHPのライブスケジュールを眺めてみると、確かにアダムで定期的にやってるけれども、他でも大きな会場とか、全国津々浦々にツアーでまわってたりとか、リアルな活動はそこそこ活発で盛上がっている様子でなにより。肝心のYouTube再生回数は一昨年の『フェスだして』が100万回再生されているものの、その後はまた10万回前後を行ったり来たり。いや10万回前後をコンスタントにというだけでも普通のバンドの中では抜きん出ているといっていいはずなんだけれども、まあ、目指せ1000万回というべきでしょうかね。頑張って!

(2019.10.31) (レビュアー:大島栄二)


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