(Sandy) Alex G『Hope』
【エリオット・スミスを思わせる叙情的で美しいアコースティック曲】
何よりもまず、Elliot Smithを思い起こさずにはいられない(それだけでもう泣きそう)。アコースティックのやわらかな音と抒情的なメロディ、儚げな歌声。それらが重ねられ、一つの形となったのがこの曲だ。疾走感あふれるテンポで移ろい行く感情。そんな目には見えない動きを一緒に体感しているようだ。生々しさ、それ故の不確かさ、脆さが混在している。だからこそ、これほどまでにうつくしいのだろう。熟練された技術と若さのきらめき。ローファイさと実験的野心。こうした彼の「二重性」は心に響く。そうした称賛の上で言いたいが、このMVは一体何なのだ。無音で見たならば(MVに対してのこの仮定は、カロリーメイトに「なんでカロリーあんねん」と言ってのけるような全否定感こそあるが、いや、このたとえこそなんやねん感こそあるが)、まるで意味不明で、わけがわからない。だが、どうか安心してほしい。ミュートを解除して音を聴けば……ほら、すばらしい名曲!
(2019.10.30) (レビュアー:夜鍋太郎)