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Chima×古賀小由実『水の舟』【違う声を交互に聴かされることによって、声の特徴に気づく】

古賀小由実の新しいMVだ。と思ったらchimaという人とのコラボ作品。こういうの、困るんだよな。誰の作品なのかよくわからない。カテゴライズしたいという強い欲求があるわけじゃないけれど、誰の作品なんだよというのが不明瞭というのはなんとなくスッキリしない感が脳味噌の隅に残る。昨今は○○の作品フィーチャリング◇◇みたいなのもよくあって、それは○○が主のアーチストで、◇◇はゲスト扱いでいいんだろうと思い込むことにしてるけれど、この作品みたいに2人のアーチストを「×」でくっつけてるのは、なんだろうなあ、どっちが主でどっちがゲストなのかよくわからない。

とまあ、個人的なスッキリしなさ感はあるものの、このMVをみてて、これはイイなあと素直に思う。曲の最初で古賀小由実の弾き語りが始まって、ああ、いつもの古賀小由実の歌声だなあと思ってると、ハミングコーナーの後にchimaの歌パートが始まる。明らかに古賀小由実の声とは違う種類のボーカルだ。高くて、澄んでいる。その後にまた古賀小由実が歌い出す。古賀小由実の声も澄んだ声だとずっと思っていたけれど、chimaの声と較べれば、どことなくやわらかな布で包まれているような声だと気付く。どちらが優れててどちらが劣っているというのではなくて、それぞれの声に違いがあって、違う声を交互に聴かされることによって、これまでもいい声だと思っていた声の、特徴に気づくし、そのことで、古賀小由実の歌声がまた好きになる。そこからの好きは、それまでの好きとは違う種類の、もっと詳しく深く知っているということ前提の、さらに好き、だ。そんなことはソロの楽曲を聴いただけで解れよといわれれば本当にその通りで、いやあもうすみませんと謝りたくなるけれども、いやいや待てよ、そりゃあ鑑賞の理想だけれども、それはある種色見本帳を並べてみることによってその色の違いを特徴をより明確に見分けられるということはよくあることで、だから、このMVを観て2人の声を交互に聴くことで気付いたり知ったりするということは、別に恥ずかしいことではないし、誰に謝らなきゃならないということなどではないはず。
2人のシンガーがコラボするこの作品が、いったい誰の作品なんだよという、カテゴライズしにくいという不満はやっぱり残ってはいるものの、この曲がこのMVが、古賀小由実の歌声をより深く知るきっかけになったというのは事実であり、だから、カテゴライズ云々という点などはもうどうでもよくて、素晴らしいよなこのMVという感想であふれてしまう。それと同時に、chimaの歌声もめっちゃピュアで透き通っていて、とても良いなと思うし、彼女のソロ曲もちゃんと聴いてみたいという気になった。2人のコラボ作品はアルバムになっているし、他の楽曲もいくつかMVになっているので、そちらもチェックしておきたい。

(2019.9.17) (レビュアー:大島栄二)


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review, 古賀小由実, 大島栄二

Posted by musipl