カネヨリマサル『関係のない人』
【多少重たいことを考えたりしていても、日常はユルく楽しくいきましょう】
大阪のガールズバンド、なんか良いね。このいい感じの力の抜け具合が。カネヨリマサルというバンド名は金より勝るという意味合いがあるのだろうし、だとしたら人生にとって何が大切なのかということを主張したいバンドなのだろうと思うし、この曲ももはや関係ない人なのにどうして考えてしまうのだろうという打算とは違う心模様を歌っているのだろうし、だから基本的には重いことを考えたりする人たちのはず。なのにこの軽いテイストのノリとサウンド。そういえば金より勝るがカネヨリマサルとカタカナになった瞬間に間の抜けた男子が主人公のマンガタイトルみたいに思えてくるし、そういう意味でも、多少重たいことを考えたりしていても、日常はユルく楽しくいきましょうと、そんな感じを前面に出していきたいのかもしれない。彼女たちのHPはまだ無くて、Twitterアカウントがあるのみ。もしかしたらTwitter以外の窓口があるのかもしれないけれど、リンク先として書いてないからわからんよね。わからないということは、無いと判断されても構わないということでもあるでしょう。彼女たちは地元大阪だけじゃなくて関東にもツアーで行ってるし、MVまで作るバンドのほとんどは知られたい売れたいという野望を持っているだろうし、そういうバンドはアピールをガシガシしてるのがほとんどで、HPのバイオグラフィを見たりすると実像以上に大きく見せようという意志がプンプン感じられるもの。もちろんそういうのは大切なことだし、やってないバンドにはやりなよと言うべきだと思うし実際言ってるんだけれど、等身大のちょっとひと周り上くらいの、嘘じゃない範囲の自己紹介をした方がいいと個人的には思っているのに、割と多くのバンドは嘘レベルのふくらましプロフィールだったりして。そういうのをたくさん見てると食傷気味になって、そこでこんなに力の抜けた、やる気が有るのか無いのかよくわからないテイストで、活動も表現もちゃんと頑張ってるバンドを見ると、なぜかホッとしたりします。いやもちろん今後HP作ってドドーンとアピールする予定なのかもしれませんけどね。その時にめっちゃふくらましたプロフィールでアピールしてたとしても、まあそれはそれ、自分たちの考えで一番効果ありそうなやり方でやってもらえればと思います。どっちにしても、この曲大好きです。
(2019.3.28) (レビュアー:大島栄二)